EDMCから新しい方向性が出されて、今後はOPENFIBOと言ってFIBOをKnowledgeGraphテクノロジーを取り入れて拡張してゆくそうです。
詳細は2020/3/31に実施されたEDMCouncilのWebinerを参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=DmGE8ScJ--8
FIBO自体が概念的にはわかるのですが実際に応用技術として日本ではまだどの金融機関も取り入れておらず実務としてはハードルが高いと思います。
1.実用化が難しい理由:
①オントロジーが日本ではほとんど浸透していない
医療分野では一部利用されていますが金融機関では利用実績がない。
FSAなどの当局が報告様式に応用するなどの動きがないとどの金融機関も取り組みにくい。
②RDBMからデータをインポートするのが複雑
③EDMなどの協議会が勉強会をやっているものの知識の普及が遅れている
ただ、今回のKnowledgeGraphへの方向付けは大変興味深いものがあります。
2.KnowledgeGraphとは?
一言で
GraphDB=Ontology + データ(インスタンス+リレーション)
から
KnowledgeGraph=GraphDB + AI(自然言語認識など)による知識の獲得
です。
これを実現することでサイロ化されたRDBをGraphDbでインテグレートすることが可能です。
また、金融機内のすべての取引や取引先情報を統合化されたナレッジグラフに格納することによって今までリンクされることのなかった情報がいろいろな切り口で検索することが可能となります。
イメージとしては以下です。(例はNeo4J)
すべての取引がリンクされるイメージです。
3.想定される利用方法:
①回転売買などの会計不正の事前検知
・取引先のサプライチェーンが見える化されるのでキャッシュフローとリンクすることで回転売買を把握可能
②リスク管理では
・LiborがX%上昇した際にデフォルトが生じる可能性のある金利スワップ取引先
・取引先のサプライチェーンが見える化されるので、特定取引先の破綻による連鎖倒産リスク等が予知可能
③地域特性に基づいた収益予測
・集中豪雨等による被災地の売上変動のマクロ予測による収益予測
4.既に実用化段階に入っている例
例:
①EY Customer360°
顧客分析としてナレッジグラフを活用する。
データタイプの違いを吸収し、あらゆるデータソースから顧客データを取り込んで、顧客を全方位から理解するためのCustomer 360ソリューションを「銀行の頭脳」にすることが、デジタルトランスフォーメーションの要となる。
https://neo4j.com/blog/transforming-the-enterprise-ai-scale-neo4j/
②THOMSON REUTERS KNOWLEDGE GRAPH FEED CONTENT
Thomson Reutersの金融コンテンツセットのリンクされたデータフィードで、あらかじめ特定された一連の関係を持ち、データセット内およびデータセット間の以前に検出されなかった接続を発見するのに役立つ。
https://www.thomsonreuters.com/en/press-releases/2017/october/thomson-reuters-launches-first-of-its-kind-knowledge-graph-feed.html
③企業業績に影響を与えるリスク要因の分析->サプライチェーンの把握
④NttdataのiTreasure
ナレッジグラフとは言ってませんがサービスの内容からそうであると推察されます。
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/itreasure/
5.FIBOのKnowledgeGraph
以下資料から抜粋しました。
https://slideplayer.com/slide/13343093/
今後の方向性について説明したものです。
説明者:David Newman
SVP, Head of Knowledge Graph Solutions, Innovation R&D Group, Wells Fargo Bank,
Chair, FIBO Program, EDM Council
①データインフラとしての機能
②AIの有効利用のための役割
③ナレッジのブリッジ
今後のFIBOの進展に期待したいと思います。